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真珠ができるまでのことをご存知ですか?
真珠ができるまでのことをご存知ですか?そのしくみをお伝えします。
外套膜とは、貝殻と軟体部の間にある薄い膜。
貝は「外套膜」と呼ばれる貝殻を作る器官を持ています。軟体部と貝殻の間にある半透明の薄い膜で、内蔵全体を包んでいるように存在しているので、この名前がついています。
こうやって貝殻ができる!
外套膜は、上皮細胞と結合組織からなり、外套膜の貝殻に面している細胞(外面上皮細胞)は、貝殻との間に粘りのある液を分泌します。この駅の中で、有機基質と炭酸カルシウムの結晶が育成され、貝殻が形成されるのです。
美しい輝きを放つ真珠層
外套膜の一番縁の部分(膜縁部)で作られる「稜柱層」と、その内側の部分(外套縁膜部、中心部)で作られる「真珠層」と呼ばれるふたつの構造です。「稜柱層」とは貝殻の外側や内側の縁をつくっている黒色や褐色で柱状構造をした不透明な部分です。一方「真珠層」とは貝がらの内側に見られる美しい輝きを放つ部分です。
真珠(パール)作りの主役真珠袋!
外套膜の一部が貝体内に入ると、結合組織や内臓側の上皮細胞(内面上皮細胞)は血球に分解されてしまいます。しかし、貝殻側の外面上皮細胞は体内で養分をもらい成長し、袋状になります。この袋を真珠袋といいます。
真珠(パール)とはつまり、真珠袋の中でできた貝殻(真珠層)
真珠袋はやがて、袋の中でに粘液を分泌します。その粘液の中で、貝殻と同じ炭酸カルシウムの結晶と有機基質が育成されるのです。真珠とは、真珠袋の中でできた貝殻(か真珠層)なのです。
養殖真珠は、この真珠袋を作るきっかけを人為的に与えてできた真珠のことです。
まるで手術のよう、ピースの作り方
別途に選定した貝の隙間から刃物などの平たく薄いものを差し込み、閉殻筋(貝柱)を切断して貝をひらきます。
外套膜の鰓などの臓器を取り除きます。
外套膜が現れ、縁に沿ってある程度の幅を取りながら、外套膜縁部と外套縁膜部をまとめて取り出し、まな板の上で外套膜から外套縁膜部を取り除きます。
※ 外套膜縁部が含まれていると稜柱層が作られて、美しい真珠にはなりません。
そして、外套膜縁部だけになった外套膜を2~3ミリ四方の正方形に切り刻みます。これを「ピース」と呼びます。
挿核、ピースを核と一緒に貝の生殖巣へ移植する
ピースは核と一緒に生殖巣へ移植されます。これを挿核といいます。
体内に入ったピースは増殖をはじめ、約1週間から3週間くらいで核を覆うような袋状の器官、「真珠袋」を作ります。
真珠袋の中では、真珠の基となる成分が分泌され、真珠が作られ始めます。
真珠は真珠袋の中で作られ、真珠袋が作られるために必要なのは、外套膜の一部なのですね!
そして真珠袋の中で成長する幾層にも重なってできる、真珠層構造!
真珠袋が作られ、その中の真珠の成分であるカルシウムやタンパク質を含んだ粘液が分泌され、核と真珠袋の間を満たします。
そこに含まれる有機物質が化学変化を起こし、同心円状に並んだシートが作られます。
真珠の主成分である炭酸カルシウムの結晶化が始まります。
炭酸カルシウムの結晶は球状をしています。この結晶が大きくなり、層状の部屋を仕切るシートに達するまでに成長します。
横方向に成長をし、隣の結晶とぶつかるまでに成長を続けます。
シートと炭酸カルシウムの結晶が何度も繰り返し作られることにより、真珠層構造と言われる薄層が積み重なった構造となります。
この幾層にも積み重なった構造が真珠層の重要な特徴です。テリや劣化、および修復にも大きく関係しています。
真珠は、巻が厚く、テリがよいほど品質が高いとされています。
真珠のグレードについてはこちらにてご紹介いたします。
(参考文献:真珠辞典 繊研新聞社)