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あの有名な絵画の真珠は偽物!?フェルメールの真珠ミステリー
フェルメールの最も有名な作品の一つに、
北欧のモナリザと称される傑作
「真珠の耳飾りの少女」(別名:「青いターバンの娘」)があります。
この「真珠の耳飾りの少女」、謎を秘めている作品と言われています。
有名な謎の一つに「この少女は一体誰を描いたのか?」というものがあります。
フェルメールの娘のひとりを描いたものとする説や、
理想化された人物であるとする説、諸説唱えられています。
そして未だ、そのモデルは一体誰なのか明確になっていません。
では、このフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を巡る、
もう一つのミステリーを紹介しましょう。
真珠の耳飾りの少女がつけていた真珠は一体なんなのか・・・??
フェルメールが活躍した1650年~70年頃、オランダの上流階級の間では、
真珠を使った宝飾品が流行していました。
そして、オランダ人画家フェルメールは、その作品の中でアコヤ真珠と思われる
真珠のネックレスを付けた人々の嬉しそうな姿の絵を何枚も描いています。
「真珠の耳飾りの少女」は1665年もしくは1666年頃に描かれたと推定されています。
あどけない少女が身に着けているのは、シルバーがかった円形の美しい大型の真珠の耳飾り。
少女が身に着けている真珠の耳飾り、本当は本物の真珠ではなかったとしたら・・・。
実は、この美しい真珠の耳飾りは専門家の中で「大きすぎる」と言われています。
しかしながら、その不自然さに気が付いていても、絵画の絶大な人気のため
模造品ではないかと声高に言えない状況であったのです。
この疑惑の真珠を巡るミステリーに、一つの光が見えてきます。
2012年、この世界的名画「真珠の耳飾りの少女」が来日しました。
その展覧会の図録で、真珠は並外れて大きい、
ガラスにニスを塗った模造真珠かもしれないし、
フェルメールの想像力によるものかもしれない、と
真珠が本物ではない可能性を指摘したのです。
実は、真珠史の中で模造真珠のことが1656年頃に出てきているのです。
パリのジャカンという人物が、魚の鱗の銀白色の物質をガラス玉の内面に塗り、
精巧な模造真珠を作ったという、とても有名な話があるそうです。
その時期は、「真珠の耳飾りの少女」の制作時期と近しいため、
時期的にも符合するといえます。
模造といってしまうと聞こえは悪いですが、
当時、模造真珠を付けるのは最新ファッションであったそうです。
少女が着けていたのは本物の真珠なのか、それとも模造真珠なのか・・・。
世界的名画を巡る真珠のミステリー。
真相は描いた本人のみぞ知る・・・・。
(参照文献:真珠の世界史 富と野望の五千年/中公新書)