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真珠はキリスト教とイスラーム社会で最高の宝石だった!
真珠はキリスト教の最高の宝石!
313年、古代ローマ帝国はキリスト教を国教としました。以来、「聖書」はもっとも重要な書物となり、その「聖書」も真珠を最高の宝石とみなしていたそうです。
真珠は他の宝石を凌駕する最高の宝石!
「ヨハネの黙示録」によりますと、この世が終わるとき、イエスが再臨し、千年王国が誕生し、死者が復活し、最後の審判が行われる。その後、天から神の栄光に満ちた都が降りてくることになっています。ヨハネはキリスト教の黙示によってその光景を目撃し、次のように述べています。
都の城壁はジャスパー(赤壁玉)で気疲れ、都は透き通ったガラスのような純金だった。都の城壁の12の土台石はジャスパー、サファイア、エメラルド、トパーズ、トルコ石、アメシスト(紫水晶)など、12の宝石で飾られていた。都の12の門は12の真珠であって、どの門もそれぞれ1個の真珠でできていた。都は神の栄光に照らされており、「命の書」に名前が書かれたものだけが入ることができる。
(引用: 真珠の世界史 富と野望の五千年 中公新書)
この記述から、新しい神の都は純金、真珠、12種類の宝石で飾られていることがわかりますね。1個の真珠でできた門とはどのような門だったのでしょう。その門が12の宝石の土台の上に君臨していることが理解できます。真珠は他の宝石を凌駕する最高の宝石とみなされていたことが分かります。
真珠はイスラーム社会でも最高の宝石!
イスラーム社会でも真珠は最高の宝石でした。7世紀はじめに成立したイスラーム教の聖典「コーラン」には、三種類の宝石が登場します。真珠、サンゴ、ルビーです。真珠はもっとも多くて6回登場します。そのうち、2階が楽園にいる人が身を飾る「金や真珠の腕輪」などとして登場し、真珠は楽園とわかる唯一の宝石となっています。
日本で花といえば桜、アラビア語で宝石といえば真珠!
9世紀になると「宝石」を意味するアラビア語として、「ジャウハル」が使われるようになりました。「ジャウハル」には真珠という意味もあったのです。日本語で花といえば桜ですね。アラビア語では、宝石といえば真珠だったそうですよ。
真珠は宝石類のなかでもっとも貴重なもの!
10世紀はじめのイスラーム教徒のアブー・ザイド・アルハサンは「中国とインドの諸情報」という書物のなかで、真珠は価格が莫大となっていき、宝石類のなかでもっとも貴重なものとみなされるようになった、と述べています。
真珠は支配者に集まる仕組みとなっていた!
思わぬところで真珠が発見されたことがあるのですよ。アラビア半島の砂漠で死んでいたキツネの口からころころした真珠が見つかり、バグダードで7高く売れた話。塩漬けにしようとした魚の内臓にあった貝からでてきた真珠をカリフが莫大な値段で買ってくれた話などが有名です。
見事な真珠を大儲けするには、その真珠を現金化する必要があります。こうした逸話は、当時のイスラーム社会ではバグダードで売却できたり、カリフが買い上げてくれる換金システムが整っていたことを示しています。
真珠は支配者に集まる仕組みになっていたのですね。
(参考文献: 真珠の世界史 富と野望の五千年 中公新書)