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インドとの真珠交易は苦労が絶えなかった!
インドと宝石等の貿易にはコストがかかった!
1世紀になると、古代ローマ帝国の人々はインドと交易を行うようになりました。インドには真珠、コショウ、ダイヤモンド、透明石、サンゴ、鼈甲、錦織物など買いたいものがいろいろありました。しかし、ヨーロッパ人はインド人が喜ぶものをもっていなかったため、ローマの金貨や銀貨で支払う必要があったのです。インド貿易は意外とコストがかかったそうです。
厳しい監視下でのインド貿易は難しかった!
インドの諸王朝は中央集権国家だったため、商人は国家の厳しい監視下に置かれました。「実理論」の記述によりますと、航行中の船が領海に入ったら、さっそく関税が要求されたそうです。商人たちは何者で、どこから来たのかを記録され、旅券がなければ逮捕されたそうです。商品の量と価格は事前申告で、申告した価格より高く売れた場合はその差額が没収されました。そして出国の際にも税関を通り、承認が真珠や宝石などを牛糞やワラのなかに隠していることが露見すると、最高の罰金が科せられたそうです。
大商を達成しても、インドの居酒屋で祝杯は危険!
苦労の絶えないインド交易でしたが、それでもヨーロッパ人がローマ金貨を備えてはるばる向かうだけの甲斐はあったそうです。大商を達成し、祝杯をあげたくても、インドの居酒屋で飲むのはやめていたほうがよかったそうです。
「実理論」によりますと、インドには酒類長官がいて、香や花環や水を備えた快適な酒家を用意していましたが、そこにはスパイや美しい奴隷女たちが置かれていて、酔いつぶれた客の装身具や衣服、金銭を調べて、その正体を探っていました。不信な荷物があるときは、適当な口実をつけて逮捕するよう「実理論」では、命じているようです。
真珠は大変な努力をはらって買い求めるものだった!
2世紀のギリシア人アッリアノスは「インド誌」のなかで次のように述べています。
真珠は今日でもなお、インドからさまざまな商品をわれわれのところにもたらす者たちが、苦心して買い付けた末にやっともちだすもので、昔のギリシア人にせよ今日のローマ人にせよ、財産あり栄えている人びとがいずれも、いまだに大変な努力をはらって買い求める品・・・・「マルガリテス」(真珠)と呼ばれているものなのである。
(参考文献: 真珠の世界史 富と野望の五千年 中公新書)