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真珠王国日本誕生!御木本幸吉が生み出したイノベーション。
19世紀までは日本で真円真珠の養殖はされておらず、美しい球体の真珠はすべて天然真珠に頼っていました。けれども天然真珠がとれる割合は非常に低く、比較的とりやすい天然真珠のアコヤ真珠でさえも1万個に1個という割合。そのような真珠にまつわる状況を打開するために20世紀の初頭、真珠の養殖技術がイノベーションを遂げます。ここでは御木本幸吉が特許をとった真珠養殖技術についてお伝えします。
半円真珠のその先へ
当時の日本では真円真珠の養殖には成功していなかったものの、半円真珠の養殖には成功していました。1912年に半円真珠の養殖が自由化されたことで、真円真珠の養殖技術を生み出すことが真珠養殖の技術者にとって急務となり、真珠養殖の技術者は競い合いながら我先にと真円真珠の養殖成功を目指すことに。そして半円真珠のその先、真円真珠の養殖法が生み出されました。
御木本幸吉が生み出したイノベーション
御木本幸吉が生み出したイノベーションは《全巻式》という真円真珠の養殖法。それは核を外套膜で包み込み、真珠貝の中に挿核するというものです。1914年に特許を申請し、1916年5月に特許に認可されたことにより、日本初の真円真珠養殖法となりました。そして御木本幸吉は真珠王と呼ばれるようになり、世界的な真珠養殖の権威として君臨しました。
真円真珠の養殖成功による真珠王国日本誕生
真円真珠の養殖成功により、真円真珠を量産することができるようになりました。現在では当たり前のように生産されている養殖真珠ですが、養殖技術に乏しかった時代には天然の真珠貝をとりながら懸命に真珠を探す必要があり、真珠を多数確保することは難しかったのです。真円真珠の養殖成功により、真珠王国日本誕生へ。御木本幸吉が世界から称賛されたイノベーションが真珠の生産界に与えた影響は非常に大きいと言えるでしょう。
参照
真珠の世界史 富と野望の五千年(山田篤美著/中央公論新社)