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日本の真珠(パール)といえば、アコヤ貝、日本のアコヤと世界のアコヤの違いとは?
真珠について調べていると必然的に《アコヤ貝》という名称を目にする機会が多くなります。それは真珠の歴史にアコヤ貝が大きく関係していること、アコヤ貝からとれる真珠の色や形が真珠貝の中で最も美しいことなどが主な理由と言えるでしょう。ここでは日本のと世界のアコヤ貝の違いについてお伝えします。
アコヤ貝は真珠貝の王者
日本国内の真珠の歴史を遡るとアコヤ貝にたどり着きます。それはアコヤ貝が真珠の生産に最も適した真珠貝であると考えられていたため、アコヤ貝の真珠生産が日本国内で盛んに行われてきたことと関係しています。アコヤ貝は真珠貝の中で最も美しい光沢と形をもった真珠を作れると考えられており、現在でもその地位は揺るぎません。
日本のアコヤ貝の特徴とは
日本の真珠生産の多くを担ってきた天然真珠の王者アコヤ貝と言えども、20世紀初頭の日本のアコヤ貝からとれていた天然真珠のほとんどは直径3ミリ以下のもの。5ミリ前後のものとなるとアコヤ貝1万個に1個程の割合となり、そのようなサイズのアコヤ真珠はほとんどとれていません。そのため5ミリ前後のサイズのものは宝石として扱われていました。
日本と世界のアコヤ貝の違い
日本国内ではアコヤ貝は日本でしかとれないものであると考えられていましたが、実際は世界の数か所でアコヤ貝がとられており、真珠の採取も行われていました。世界のアコヤ貝はベネズエラ、アラビア湾、インド、中国の4か所が主要な産地で、それらのアコヤ貝の祖先は同じであると考えられています。しかし世界のアコヤ貝にはそれぞれ特徴が異なり、例えばアラビア湾のアコヤ真珠はクリームやピンク色のものが多く、ベネズエラのアコヤ真珠は透明感が強い。また中国や日本のアコヤ真珠は白色や黄色系統のものが多いので、作られる真珠の色や光沢の特徴に差があります。
参照
真珠の世界史 富と野望の五千年(山田篤美著/中央公論新社)